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最終更新日-2016-12-08 (木) 19:08:38

ペットボトル霧箱

 これは「霧箱」です。この霧箱は、あなたのまわりを飛んでいるフツーの放射線がバンバン見える、すごい実験道具です。このコーナーでは霧箱で見た放射線の実験動画や記事を紹介します。この霧箱は名古屋大学理学研究科・基本粒子研究室(F研)の林煕崇(ひろたか)さんが考案したもので、簡単に作れて「いつでもどこでも放射線が見える」という優れものです。

もくじ


たのしい授業2016年2月号

『たのしい授業』2016年2月号に「クリアファイル式霧箱」の作り方と、それを利用した授業プラン「君は宇宙線を見たか」が掲載されています。
『たのしい授業』2013年1月~3月号には読み物「霧箱で見える放射線の話」が連載されています。
・『たのしい授業』は全国の書店の他、Amazon仮説社HPで購入できます。

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霧箱の作り方 How to make a cloud chamber

(1)ペットボトル霧箱の作り方

ペットボトル

 一人で見るだけならペットボトルで霧箱を作るのがいいでしょう。
ペットボトル霧箱の作り方



(2)クリアファイル霧箱の作り方

クリアファイル

 講座などでたくさんの人に霧箱を見せたいなら、クリアファイルで霧箱を作る方法が適しているでしょう。
クリアファイル霧箱の作り方



(3)展示用大型霧箱の作り方

大型霧箱

 展示用に大きな霧箱を作る作例です。材料や基本構造はペットボトル霧箱の作り方クリアファイル霧箱の作り方を参照してください。
展示用大型霧箱の作り方


霧箱で放射線が見えるわけ

拡大s

どうして霧箱で放射線が見えるのか?解説します。
霧箱で放射線が見えるわけ


スピンサリスコープでアルファ線を見るSpinthariscope

Radium

 スピンサリスコープは「蛍光板にぶつかるアルファ線の光を見る」ことでアルファ線を観測する装置です。ラザフォードはこの方法でアルファ線の正体を探り、原子の構造を探る実験を行いました。霧箱とはまた違った方法で見る放射線の姿です。
スピンサリスコープの研究



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自然界の放射線 Natural radioactivity

自宅の自然放射線 Radiations in My home

自宅ベランダ

2012/06/29 20:12:18
 これは、私の自宅ベランダで撮影したもの。線量率は0.06~0.08μSv/h程度でした。これぐらいの放射線はどこでも飛んでいます。
 動画では細くてまっすぐな長い飛跡は宇宙線、太くて濃い飛跡はラドンのアルファ線、それ以外の細い飛跡や曲がりくねった飛跡は、周囲の様々な放射性原子の出すベータ線と思われます。

動画をみる (再生時間1分13秒)

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高山での宇宙線 Cosmic ray

千畳敷カール

2012/01/07
 長野県の標高2600m千畳敷カールで見た自然放射線です。空気が薄い高山では宇宙からくる放射線が強まります。2016年2月21日のブログにも観測記事があります。
 私の自宅ベランダの霧箱動画と比べると、長い飛跡が多く出ています。これは宇宙から飛んできた放射線=宇宙線が多いためです。標高の高い場所では低地よりも宇宙線が多くなります。
 冬に撮影したのは,雪で地面から出る放射線が遮蔽されて,宇宙線だけをキャッチしやすくするためです。ここは花崗岩地帯のため,大地の放射線も結構あります。その中に混じって霧箱を横切るような長い飛跡が飛んでいます。これがミュー線と呼ばれる宇宙線の飛跡です。ミュー線は電子の約200倍重い素粒子で,宇宙放射線によって破壊された空気の原子のかけらです。エネルギーが大きいため飛距離が長くなります。

動画をみる (再生時間1分11秒)

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カリウム肥料のベータ線 The beta rays from K-40

カリウム肥料

2011/04/03 17:39:52
 この実験ではホームセンターで買ったカリウム肥料を放射線源にしました。肥料の袋にガンマ線測定器を乗せると、私の自宅周辺の4倍ほどの強さの数字が出ました。
 カリウム原子はすべての生物や大地を作る花崗岩にたくさん含まれていて、自然放射線の大きな部分を占めています。自然界のカリウム原子には、放射性カリウム原子が一定割合含まれています。これらのカリウム原子は放射線以外の性質はまったく同じで区別不可能です。放射性カリウム原子はベータ線を出して変身します。ベータ線はとても軽い電子なので、空気の分子にぶつかって曲がりくねることもあります。放射性カリウム原子は一部がアルゴン原子に変身します。地球の大気成分の堂々の第3位がアルゴンなのは、放射性カリウム原子から常に作られているためです。

動画をみる (再生時間1分5秒)

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風船の静電気で集めたポロニウム Polonium in the air

花崗岩に貼り付けた風船

2012/02/20 18:28:28
 地球の岩石に含まれるウラン原子やトリウム原子は放射線を出して変身することでラドン原子になります。ラドンは気体のため、大気中に出てきます。それらの空気中のラドン原子はアルファ線を出すとプラスの電気を持ったポロニウム原子に変身します。そうなるとマイナスの静電気で集めることができます。
 写真のように風船を紙でこすって静電気を起こし、花崗岩(みかげ石)やコンクリートの壁に貼り付けます。押さえておかなくても静電気で自然に張り付きます。こうすると花崗岩から出るラドンがポロニウムになって風船に張り付きます。30分ほど放置してから、風船の空気を抜いて霧箱に入れると、風船からアルファ線が出るのを見ることができます。
 このコーナーのトップにある「自宅ベランダの放射線」でも太く濃い飛跡がときどき出ますが、これは空気中のラドンやポロニウム原子が出したものです。

動画をみる (再生時間47秒)

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石から出るアルファ線 Radioactive stone

ポリクレース

 『たのしい授業』2013年1月号(仮説社)の連載記事で紹介された実験です。バックナンバーは仮説社HPで購入できます。
 これはポリクレースという石から出るアルファ線です。この石にはトリウムが含まれています。ガンマ線では1μSv/hほどでした。

動画をみる (再生時間1分5秒)

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村杉温泉の放射線 Hot Springs in MURASUGI

村杉温泉

 新潟県の村杉温泉は日本で有数のラジウム温泉です。ここではラドンの放射線が多く出ています。
 温泉で霧箱を見るとどうなるか。やってみました。取材記事はブログから村杉温泉その2~放射線と星新潟の旅~村杉温泉をご覧ください。

動画をみる (1分20秒)

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増富温泉のラドンHot Springs in MASUTOMI

増富温泉

 山梨県の増富温泉の旅館内で見たラドンのアルファ線です。
日本有数のラジウム温泉だけあって、アルファ線がばんばん飛びました。
 取材の様子は増富温泉で霧箱を見るをご覧ください。

動画をみる (再生時間1分2秒)

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エックス線の実験 X-ray

エックス線 x-ray

クルックス管

 レントゲン写真で使うX線も放射線の一つです。この動画はクルックス管という真空放電管から出るX線を撮影したものです。
 もともとレントゲンは1895年にクルックス管の実験をしているときにX線を発見しました。クルックス管は中学や高校の理科の授業でよく使われます。このとき古いクルックス管の中には強いX線を出すものがあるので注意が必要です。この場合短時間しか実験を見ない生徒よりも、何度も実験を繰り返す教師への影響の方が心配されます。あまり電圧を上げないように実験することが必要です。誘導コイルでは「放電距離1cm」程度に抑えることが安全のために必要です。最近の教材用放電管ではエックス線対策がされた製品がありますので、そのような製品を使いましょう。
 この実験ではわざとX線を発生させています。X線を測れる専用の測定器で管の直近で47μSv/hの強さでした。これは宇宙ステーションの中と同じぐらいの放射線です。γ線用のシンチレーションタイプの測定器ではX線の有無の判断には使えません。GM管タイプかX線測定可能と明示してあるものを使わないとX線の有無はわかりません。また多くの場合シーベルト表示は「セシウム換算」のことが多いので,cpm単位(1分間の放射線数)で測り、X線に換算すれば(換算できるWebサイトがいくつかあります)より正確に強さがわかります。
X線を霧箱で見るに大きな静止画をのせていますので、こちらも併せてご覧ください。 
 飛跡が消えていくのは、霧箱の中が放射線でできた静電気でいっぱいになり、霧が作れなくなるからです。静電気を取ってやると、また霧ができるようになります。

動画をみる (再生時間36秒と13秒の2本)

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エックス線の飛跡の拡大 x-ray(2)

たたき出された電子の飛跡

 ブログの方に写真を載せましたが、これはX線が当たった原子から電子がたたき出されてできた小さな飛跡を拡大して撮影した動画です。一瞬のうちに飛跡ができ、すぐに崩れていく様子をご覧ください。

動画をみる (再生時間21秒)

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放射線グッズRadioactive goods

ドール・ストーン The Doll Stone

ドールストーン

ドール・ストーンは鳥取県と岡山県の境にある人形峠のウラン鉱石から作られた製品です。ラドン温泉の元として使います。
ブログ/2011-08-13で紹介しました。
 大きいので,割って霧箱に入れました。飛跡を見ると確かにラドン源になりますね。
 セラミックボールのように固く焼き固めたものではなく,柔らかい素焼きのようなものです。霧箱や,測定器に粉が残ると,その後の使用に支障が出るので,注意が必要です。

動画をみる (1分5秒)

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ラジウムセラミックボール The Radium balls

セラミックス

 人工的なラドン温泉の元としてラジウムセラミックボールという製品があります。BB弾ほどの大きさです。私はAmazonで100g2000円ほどで購入しました。これを1粒霧箱に入れてみました。100gで1μSv/h以上ありました。霧箱ではラドンのアルファ線はほとんど見られず、ベータ線源として使えます。

動画をみる (1分8秒)

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トリチウム(三重水素)のベータ線 The Tritium illuminations

NITE
蛍光

 この製品は管にトリチウムを入れて、そこから出てくるベータ線で蛍光物質を光らせるものです。トリチウムは通常の3倍重い水素原子です。ベータ線を出します。
 放射線には「蛍光物質を光らせる」という性質があります。トリチウムの半減期は12年なので、10年光るというキャッチコピーのキーホルダーです。
 日本で売っている店が見つからなかったので,イギリスのメーカから直接購入しました。一個9.99ポンド。3個買って送料込みで4000円少々でした。興味のある方は,
http://www.niteglowrings.com/
をご覧ください。(2015年11月現在)
 トリチウムの出すβ線はとてもエネルギーが弱いそうで、霧箱に入れてもゴミのような飛跡がぱらぱら出るだけでした。これでは何も入れないのと変わりませんので,線源としては全く役立ちません。動画中に時々出る濃い飛跡は空気中の放射性原子のものでトリチウムとは関係ありません。
 霧箱に入れておいたらひびが入ってしまいました。このプラスチックはアルコールに弱いみたいです。

動画をみる (再生時間1分5秒)

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福島県の原子力災害 Fukushima accident

飯舘村での放射線 IItate Village

いちづく石

 2012年5月13日午前2時2分撮影。福島県飯舘村入り口の「いちづく石」で見た霧箱の様子です。7~8μSv/hの環境でした。昨年9月に同じ場所で測ったときは、測定器「はかるくん」が振り切れて10μSv/h以上でしたので、1年経過してかなり放射線が弱まっていました。2011年9月当時
 霧箱の中は数え切れないぐらいのベータ線で埋まりました。これはセシウムのベータ線です。こうして「目に見えるようにする」と、改めて、原発事故の汚染の現実がわかります。

動画をみる (1分9秒)

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福島県帰還困難区域周辺を霧箱で見る Around Off-limits area

帰還困難区域

 2014年8月の福島での霧箱実験です。2011年よりもだいぶ放射線は弱まり、帰還困難区域も徐々に解除されていますが、まだまだ汚染の影響は残っていました。
 またブログには帰還困難区域を横断して国道6号線を走った記録もあります。こちら→帰還困難区域を走る

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様々な放射性原子の実験 Radioactive atoms

ラジウムの放射線 Radium

ラジウム

 キュリー夫妻が発見したラジウムは、放射性原子の世界を一気に広めました。
  霧箱に入れると、シャワーのようにα線が飛びました。
 ラジウムと確定した経緯はブログのこちらをご覧ください。

動画をみる (再生時間1分)

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ラジウムから出たラドンの放射線 Radium emanation

ラドン

 ラジウムからはラドンが出てきます。トリウムのラドンと違いV字型にはなりません。
これはラドンと次にできるポロニウムの半減期が、トリウムからできるものより長いからです。ミクロの原子核の違いを霧箱では肉眼で見ることができるというのは、おもしろいですね。

動画をみる (再生時間1分)

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トリウムから出たラドンのアルファ線 (1) Thorium emanation

ラドンの採取

2012/03/08 17:32:06
 ラドンという原子はどこの空気にも入っています。ラドンはアルファ線を出す放射性原子です。
 これはトリウムから出たラドンを集めて、霧箱に入れたものです。
 キャンプ用のガスランプの芯に使うマントルには,一部の製品に発光をよくするためトリウムをしみこませたものがあります。これを注射器か風船用の空気ポンプに入れて10分ほど置きます。
 その空気を霧箱に入れると,アルファ線の太い飛跡が空中からたくさん出ます。V字型の飛跡は、ラドンが変化してできるポロニウムが半減期0.15秒でアルファ線を出すので、2回連続してアルファ線を出します。
 次の(2)と比べて、放射線が少ないのは、ある程度時間が過ぎているからです。こちらの方がV字の飛跡が見やすいでしょう。

動画をみる (再生時間1分34秒)

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トリウムのラドン(2)Thorium emanation

トリウムのラドン

2012/08/30 09:09:36
 トリウム入りマントルからラドンを取って,再度霧箱の撮影を行いました。
「たくさん」というより「すさまじい」と言った方が良いかも。数え切れないアルファ線でした。その分個々の飛跡はわかりにくくなっています。
 トリウムのラドンは半減期55秒なので,スタートダッシュは激しくても、どんどん壊れて減っていき、数分たつとぐっとアルファ線は減ってしまいます。このときの実験では数分で著しくアルファ線が減りました。

動画をみる (再生時間1分8秒)

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ポロニウムのアルファ線 Polonium

ポロニウム

2012/12/29 09:35:13
 ポロニウムはキュリー夫妻が,1898年にウラン鉱石から取り出して発見した放射性原子です。マリー・キュリーの生まれた国,ポーランドから名前がつけられました。
食品中にも自然に含まれていて,自然放射線の一部を占めています。ポロニウム原子はアルファ線しか出さないので,アルファ線の実験に向いています。しかし半減期が130日ほどと短いので1年ぐらいしか使えないのが欠点です。ウラン鉱石からはわずかしか取れないので、ポロニウム試料は原子炉で人工的に生産します。ポロニウム試料は新しいものでないと実験に使えません。赤い板の真ん中に塗ってある白いものがポロニウム化合物です。3700ベクレルの試料です。
 この動画は『たのしい授業』2013年2月号(仮説社)の連載記事で紹介された実験です。ポロニウムのアルファ線は空気中で3cmほど飛んで,長さがそろっています。

動画をみる (再生時間1分15秒)

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アメリシウムのアルファ線 Americium

アメリシウム試料

2014/08/14 13:06:31
 アメリシウムは原子番号95番の原子で,自然には存在しない人工原子です。
原子炉内でプルトニウムに中性子を当てて作ります。アメリシウムはアルファ線を出してネプツニウムに変身します。この試料は高感度煙感知器から取り出したものです。
 動画では短い飛跡が出ていてポロニウムの飛跡と似ています。時々伸びる長い濃い飛跡は,空気中の窒素原子の原子核にアルファ線がぶつかり,陽子をたたき出した飛跡です。アメリシウムはアルファ線以外は弱いガンマ線しか出さないので,アルファ線の実験に適しています。アメリシウム241の半減期は400年ほどなので,ポロニウムのようにすぐに放射線が弱まって使えなくなることがありません。

動画をみる (再生時間1分)

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科学史上の重要な実験 Historical experiments

ウィルソンの膨張箱 Wilson's cloud chamber

ウィルソン膨張箱

 冷却しないで動作する霧箱です。ウイルソンが考えた原理そのままの〈霧箱の先祖〉といえるものです。実際にどんな感じなのか試してみました。
 実験記事はこちらです

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ポロニウムのアルファ線(水素中) Polonium in Hydrogen

水素とポロニウム

 『たのしい授業』2013年2月号(仮説社)の連載記事で紹介された実験です。
 ラザフォードは様々な気体の中でアルファ線の飛び方を調べる実験を行っています。そのとき発見したのが、「水素中での飛距離の伸び」です。空気中に比べて水素中では3倍程度長い飛跡になります。
 これは水素原子が空気の成分である酸素原子や窒素原子より軽いからです。アルファ線がそばをかすめたときに、水素原子だと軽いので邪魔されにくいのです。動画で時々〈アルファ線の先からさらに飛跡が伸びる現象〉も見られます。これは水素原子から何かが飛び出していることを示唆する現象でした。

動画をみる (再生時間約1分)

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ポロニウムのアルファ線による窒素原子の変身 Transform atoms

窒素の原子転換

 『たのしい授業』2013年2月号(仮説社)の連載記事で紹介された実験です。ラザフォードは「窒素中でのアルファ線の散乱実験」中に,〈水素のときと同じような長い飛跡が時々出る〉ことに気がつきます。その原因追及の結果,窒素がアルファ線によって叩かれると,酸素原子と水素原子に割れるということを突き止めます。これは原子が人工的に変化したという画期的発見になりました。「原子=アトム=分割できないもの」ではなかったのです。
 この動画ではポロニウムを窒素中に置いています。時々出てくる細長い濃い飛跡が,窒素から叩き出された水素原子核です。ラザフォードは後にこの水素原子核を「陽子(プロトン)=第一の粒」と呼ぶことも提案しています。「水素原子核はすべての原子に入っているのではないか」という予想から提案された名前でした。

動画をみる (再生時間約1分)

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アルファ線と原子の衝突 Collision with nucleus

α線の散乱
説明

 ウラン鉱石を霧箱に入れた様子です。
 2回目の帯電棒が通過した35秒あたりに左の方にY字型の飛跡が出ます。これはアルファ線が空気の原子(酸素か窒素)の中の原子核と衝突したときの飛跡です。アルファ線数万個に1個ぐらいしか起こらない珍しい現象です。どの飛跡か探してみてください。

動画をみる (再生時間1分2秒)

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原子核発見 Discovery of nucleus

α線の金箔による散乱

 1909年 - ラザフォードはガイガーとマースデンにアルファ線を金箔にぶつける実験をさせているときに、「金箔の向こう側だけでなく、手前にも蛍光板を置いたらどうかもやってみてくれ」と何気なく言いました。学生だったマースデンに実験の練習としてやらせてみたのです。そして「金箔から跳ね返されるアルファ線がある」という予想外の現象を発見しました。ラザフォードはこの実験の解釈に2年を費やし、自分の大学の数学の講義にも出て確率論を学び直し、「原子の中はスカスカで、中心のきわめて小さい範囲に原子の質量の集中があり、それがアルファ線を跳ね返す」と考えるしかないと1911年に結論を出します。それが後に「原子核の発見」として知られるようになりました。
 動画ではスクリーン右側に反射したアルファ線が出ます。この線源では1分間に1~2回ぐらいの反射が出ました。原子核もアルファ線も原子の10万分の1の大きさしかなく,ぶつかる確率は小さいです。この動画では反射した場面だけ集めています。

動画をみる (再生時間48秒)

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ヘリウムにアルファ線をぶつける Polonium in Helium

ヘリウムのV字

 アルファ線の正体は「ヘリウムの原子核」です。霧箱の中をヘリウムで満たして,ポロニウムのアルファ線をぶつけてみました。これは「全く同じ質量の粒子の完全弾性衝突」となります。うまく原子核にぶつかると,それぞれが同じ運動量で跳ね返るので,Y字(またはV字)の飛跡になります。実際にやってみると確率はかなり低いようで,なかなかY字の飛跡は出ませんでした。

動画と画像を見る (再生時間12秒)

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中性子の発見 Discovery of Neutron

パラフィン・ベリリウム・ポロニウム

 
 1930年にアルファ線をベリリウムに当てると、非常に透過力のある放射線が出ることが発見されベリリウム線と呼ばれていました。最初は強いガンマ線の一種と思われていたのですが、ラザフォードの弟子のチャドウィックは「これはラザフォード先生が予想していた中性の粒ではないか」と考え、証明する実験を行いました。今回はその再現です。チャドウィックは霧箱は使ってませんでしたが、霧箱で再現できます。
 アルファ線を出すポロニウムをベリリウムに貼り付けます。これでだけでベリリウムから中性子がたたき出されますが、中性子は電気を持たないため霧箱で見ることはできません。そこでさらにパラフィン(ろう)にベリリウムを貼り付けます。するとパラフィンから陽子が飛び出してきます。陽子なら飛跡を見ることができます。パラフィンは水素原子が多いため、水素原子の原子核=陽子に同じ重さの中性子がぶつかると、玉突きのように水素の原子核=陽子がたたき出されます。パラフィンは放射性物質では無いのに、陽子が飛び出すのが見えるわけです。すべて原子以下の粒子が起こす現象です。

動画をみる (再生時間約1分)

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窒素・ヘリウム・水素中のアルファ線 Alpha particles in gases

水素の飛程

 これまで「アルファ線を原子核にぶつける」実験をやってきましたが,その中で「アルファ線の飛距離の違い」がよく分かりました。軽い原子の中ではアルファ線は遠くまで飛びます。同じ寸法にそろえて比較写真を作ってみました。

Q&A

Q 学校の課題レポートで霧箱についてまとめています。
ここのサイトの情報をもとにして霧箱を作成してみました。
実際に観測はできたのですが、写真撮影をしたいと思うのですが、
軌跡が消えるのが早すぎてうまく撮影できません。
小型のコンパクトカメラを使用しています。
うまく撮影するコツを教えてください。


Aまず霧箱で見える飛跡の状態から、〈写真に撮るとき対応しなければならないこと〉があります。それは「飛跡を見てからシャッターを切るのは間に合わない」「霧箱の中は暗い」「飛跡は小さい」ということです。
 そうなると飛跡をうまく写真に撮るには次のことが必要になるでしょう。
(1)あらかじめ構図とピントを決めておく。
(2)カメラを高感度に設定しておくか、明るいレンズを使う。
(3)接写できること。
(4)LED照明のまぶしい反射光が構図に入らないようにする。
(5)ぶれないようにシャッターを押す。
 特に(1)がうまくできれば、あとは撮り方の問題なので(1)が最も重要です。参考に私の撮影方法を紹介します。
霧箱撮影セッティング
 これが私のセッティングです。カメラを三脚に固定し、構図とピントを決めてしまってあります。ピントはマニュアルです。オートフォーカスは使いません。
 90mmの望遠マクロレンズを使って距離を取っています。これは霧箱の底面付近だけ大きく写すためです。絞りはF4~F5.6程度にして、カメラの感度はISO3200に設定。これでシャッターは1/20秒前後。これはテスト撮影して決めた値ですので、使うカメラでいろいろ試してみてください。またシャッター速度が遅いのと、接写で拡大しているので、ぶれを防ぐため、ケーブルスイッチでシャッターを押しています。
 このようにセットできれば「飛跡を見てからシャッターを押す」でも、十分間に合いました。コンパクトデジカメの場合、オートフォーカスにしておくと動作が遅くて、飛跡の出現に間に合わない場合が多いでしょう。その場合は連写モードを活用して、「数打ちゃ当たる」で試みるしかないでしょう。
 さて質問にあるような〈コンパクトデジカメでこの条件がクリアーできるか〉が問題です。それはカメラによってできることが決まります。できるだけ(1)~(5)が実現するように考えてみてください。どんなカメラでも三脚固定はした方がいいですね。
 条件を満たすのが難しい場合にはもう一つ方法があります。
 最近のカメラは動画が撮れるので、静止画ではなく「動画で飛跡を撮る」という方法も検討してみてください。動画なら「飛跡が出てからシャッターを切ると間に合わない」ということは避けられます。動画ならオートフォーカスも使えます。動画で撮って、あとでいい飛跡のカットだけ静止画で切り出せばいいのです。それができるソフトが必要ですが、撮影方法の選択肢になるでしょう。
 動画の場合も三脚固定しないとぶれやすくなります。
 うまく動画が撮れれば、「飛跡が現れてから消えるまでの連続写真」も切り出せます。動画で撮ることもとても良い方法です。




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