Tag: 霧箱 放射線

クリアファイル霧箱の作り方(2016.8.13版)

 このページではクリアファイルで作る林式霧箱の作り方を紹介します。講座や学校の授業などで大勢の人に霧箱を見せたいときは、これまでのペットボトルの筒では材料を集めるのが大変でした。そこで中学校で霧箱の授業をしてきた小林眞理子さん(埼玉県)が、2014年の夏に〈文房具のクリアファイルで霧箱の筒を作る方法〉を考案してくれました。これまでに多くの講座や授業で試した結果、誰でも簡単に作れて安定性が確認できたので、ここで紹介することにしました。なおこの方法は月刊誌『たのしい授業 2016年2月号』(仮説社)に掲載しています。この号には「君は宇宙線を見たか」という授業プランも掲載されているので、合わせてご覧ください。


もくじ

動画版

★動画でも作り方を見ることができます。 


1.材料

(1)A4またはA3クリアファイル1枚。
 クリアファイル1枚から2枚切り取って,重ねて厚みを補強します。
(2)黒画用紙 必ず画用紙で(つるつるの紙はアルコールがしみこまないのでだめ)。
(3)黒ベロア布地(別珍,ベルベット等とも呼ばれる)(黒フェルトは反射が強く使えません。)手芸ショップで買えます。たとえば通販サイトAmazonでは「無反射背景布 ビロード 1.5x3.6m ブラック」(9180円)や「インテリア ベロア生地 黒 [INB-10]」(幅137cmで長さ1mあたり3150円)などの製品があります。(2016年4月27日現在)。
 さらに高性能の反射防止布には(株)渋谷工学「遮光・反射防止黒色フィルム SNRシリーズ」の「SNR-N50遮光・無反射タイプ」(30cm幅で1mあたり4350円)というものもあります。
ビロード,ベロアの語で検索すればいろんな製品が見つかります。
(4)輪ゴム3本(霧箱一個あたり)
(5)サランラップクレラップなどのラップフィルム
(6)アルミホイル
(7)無水エタノール 50~100mlくらい。消毒用は水分が多いので使えません。燃料用メタノールは毒性があるので使えません。
(8)ドライアイス板状500g程度(1kgの板を半分に割ったものが便利) 
(9)ドライアイスをのせておく新聞紙発泡スチロール板、または梱包用のプチプチ
(10)LEDランプ(小型LED電気スタンドや100円ショップのLED懐中電灯など。LEDが複数付いた明るいものが見やすい)


☆工作にホチキスはさみが必要です。

注意:エタノールを使うので 火気厳禁!蒸気が大量に室内に拡散しないように気を付けてください。観察終了後、片付けのときも要注意。

 アルコールの付いたものを捨てるときは、大量の水で良く洗ってから捨ててください。

2.作り方

1) A4クリアファイルを写真のように10cm幅に切ります。上側が開いている方で、下側が閉じている方です。真ん中と閉じている方を切り取って10cm幅2枚にします。
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 A4の半分の幅は11cmほどですが、11cmにすると再現性が悪くなります。必ず幅は10cmにしてください。
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1)-2 A3クリアファイルで作ると大きな霧箱になるので、飛跡がたくさん見えます。この場合は写真のように15cm幅で切ってください。大きさ以外はA4での作り方と全く同じです。
A3クリアファイル寸法


2)切ったクリアファイルを重ねて,筒型に丸めます。合わせめを2~3か所,ホチキスでとめます。
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3) 底を作ります。
 ベロア(ベルベット)布地を,1辺が筒の径+2cm程度の四角形に切りって,筒の片方にかぶせます。
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4) 3)の上からラップをかぶせて輪ゴムで止めます。
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 ラップを引っ張ってできるだけ平らになるようにします。
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5)さらに,その上からアルミホイルをかぶせ,また輪ゴムで止めます。
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 霧箱の底面が完成しました。
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6) 黒画用紙を幅10cm(A3では幅15cm)で横長に切ったものを用意します。長さはA4クリアファイルの長辺程度。

7) 5)をひっくり返し,筒型容器の内側に黒画用紙をまるめて入れ,黒い壁を作ります。(貼り付ける必要はありません。)画用紙の重なり部分が開かないようにホチキスで止めても良いでしょう。
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 容器の内側が真っ暗になります。黒画用紙の壁はクリアファイルの筒からはみ出ない高さにします。はみ出したら切って調節しましょう。
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8) 無水エタノールを容器の底の黒ベルベット布が液面の下にぎりぎり沈むまで注ぎます。だいたい3~5mmの深さです。
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器の側面の黒画用紙にも忘れずにエタノールをかけ回して浸みこませておきます。
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★エタノールは気化しやすいので,蒸気を吸わないよう扱いに注意してください。火気厳禁!


9) 容器の口にラップフィルムをかぶせ,輪ゴムで止めて霧箱のできあがり。
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 ラップのしわを取って整えます。
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3.観察方法

1)ドライアイスを霧箱の大きさに合わせて割ります。写真は1kgの板です。このサイズだと半分に切ればちょうど良い大きさです。
 庖丁の刃を当てて何度か押さえて、このように溝を入れます。
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溝に庖丁を置いて、小槌等で軽くたたきます。
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 このように割ることができます。
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(ドライアイスが板状でない場合は布に包んでたたきつぶし、粉にしたドライアイスをトレイなどに敷いて平らにし,その上に載せてもよいです。要は平らなドライアイス面が霧箱の底面に触れるようにします。)

2)発泡スチロール(厚い新聞紙束などでもよい。)の板の上に板状のドライアイスを置き,その上に霧箱を載せます。
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3) 部屋を暗くします。
 5~10分待つと,容器内に霧が降るのが見え始めます。霧が降り始めたら写真のようにして観察します。
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4)容器上部から,高輝度LEDランプ(100円ショップのLED懐中電灯など)
で内部を照らし,観察します。観察する人自身がランプを持ち,照らした先を見ると良く見えます。できるだけ明るいライトで霧箱内部全体を照らせるものにします。
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 霧粒が降っているのがわかる位置や角度を探すとよいでしょう。霧粒が降るのが見えたら,液面のすぐ上あたりの深さに注目していると飛跡が見え始めます。
あらかじめ,どういうものが見えるのか,写真や動画などで確認しておくと,はやく見つけることができます。

いくら待っても(15分以上)霧が降らない,見えない, というとき のチェック事項

★部屋は明るくありませんか?
★LEDライトの明るさは十分ですか?
★寸法通りに作りましたか?作り方をアレンジするとうまくいかないことがあります。
★壁の黒画用紙にエタノールを浸みこませましたか? 
★筒のまわりをドライアイスで囲んだりして冷やしすぎていませんか。容器の上下の温度差がないと見えません。
★エタノールのプールが浅すぎて液面から底布がのぞいていませんか。


注意:容器上部との温度差が必要です。
 エタノールのプールだけを冷やせばよいので,底面より少し大きいドライアイス板に載せておくだけで大丈夫です。
 ドライアイスでまわりを全部囲むと、上下の温度差がなくなり過飽和層ができにくくなります。夏季などエタノールプールが冷えにくい場合は,インスタント麺のカップに入れたドライアイスの上に置き,まわりにティシュペーパーをつめるなどする程度でじゅうぶんです。


 線源鉱物等を入れて観察することもできますが,その場合しばらくすると飛跡ができにくくなることがあります。静電気が内部に充満すると,放射線が飛んでも新たな飛跡ができなくなるからです。ラップの上から指を触れるか,ティシュペーパー等でこすると復活します。



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