福島県帰還困難区域周辺を霧箱で見る~2014年8月2日
Tag: 福島 放射線 霧箱 富岡町 飯舘村 南相馬市 帰還困難区域
8月2日に福島県の帰還困難区域周辺の放射線を霧箱で見てきました。
帰還困難区域というのは,この図のように事故当時の汚染状態に応じて作られた「立ち入り禁止区域」です。指定基準は「 50ミリシーベルト/年超, 空間線量率が9.5マイクロシーベルト/時超」となっています。
汚染マップで赤い区域が帰還困難区域の中心です。青い区域は当初から汚染が少なく,避難がほとんど行われなかった場所でした。黄色い区域は立ち入りはできますが,宿泊はできないので今でも避難状態が続いています。
今回の霧箱観察地はA~Cの箇所です。Aの富岡町は今年2月から常磐自動車道の通行止めが解除され,ようやく入ることができました。2011年に行ったときは広野町までしか行けなかったので,ずいぶんと前進しました。
周辺のだいたいの数値はこのような結果でした。1μSv/h以下なら年間被曝量も10ミリシーベルト以下になり,地球のあちこちにある自然放射線の大きい地域(標高の高いところやラジウム温泉地域など)と同程度になり、生活圏の範囲になります。つまり1μSv/h程度までは自然が長い年月にわたる生物影響の実験結果を出してくれていて,十分に安全圏と考えていいわけです。簡単に換算するときはμSv/hを9倍するとmSv/年になります。
A地点の富岡インターチェンジ付近の様子です。普通よりも多めで,直線的な宇宙線に混じってくねくねしたベータ線が多く見えます。これがセシウムのベータ線でしょう。
2014年8月2日、21:06:06
霧箱撮影のついでに,富岡町の星空も撮影しました。
2014/08/02 21:18:04
ちょうど南の空に蠍座が沈むところでした。
B地点は飯舘村役場の駐車場です。0.5μSv/h以下と,2011年に初めてきたときの2~3 μSv/hからはずいぶん下がって安全になっていました。動画で見える直線的な筋は宇宙線で、事故とは無関係にどこでも飛んでいる自然放射線です。それを除けば、私の自宅よりちょっと多いかな程度でした。
2014年8月3日、0:41:58
C地点は南相馬道の駅駐車場です。ここまで来ると0.1台になり,完全に自然放射線の範囲です。2011年9月に初めて来たとき(クリックで飛べます)は0.4程度あったので,ずいぶん下がっています。霧箱でも宇宙線の長い飛跡がばかりが目立ち,自宅で見るのとあまり変わらなくなっています。車中泊の車で駐車場がいっぱいでした。私も実験を終えてここで夜を明かしました。
2014年8月3日、1:34:58
帰還困難区域の中は立ち入れないので,現在どうなっているかは分かりませんが,周辺の放射線はずいぶん下がっていたので,帰還困難区域内も日中の立ち入り程度なら問題なくなっているのかもしれません。帰還困難区域内の様子は,参考に2012年当時のD地点の霧箱実験の動画が「飯舘村での放射線(クリックで飛べます)」にありますのでご覧下さい。
野外に24時間いる人はほとんどいないでしょうから,実際の被曝量は野外の放射線より少ないのがほとんどです。
今回もあちこちで除染しているようすが見えました。3年過ぎてずいぶん放射線が下がっているのも確認できました。
あとは国道6号線が開通すれば今回のように大回りしなくて済むので,6号線の復旧がいつになるかというように感じました。
参考文献(Amazonのリンクです。)
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国道6号線開通!
2014年9月15日から浜通の国道6号線の通行止めが解除されました。
ニュースによれば沿道は2~3μSv/h程度で,原発付近が16程度とのこと。
当面は駐停車禁止で車で通過のみなので霧箱実験は難しそうです。
しかし,これで大回りせずにいわき市と南相馬市の南北を行き来できるので,住民には負担軽減になるでしょう。鉄道も早く再開してほしいですね。
私も近いうちに行ってみようと思います。