ウランガラス3色
ウランガラスというと標準的な色は黄色です。以前のブログでも黄色いウランガラスを紹介しました。これはガラスに混ぜるウラン化合物で決まっています。
ウランガラスについての世界で唯一と言っていい文献『ウランガラス』(
ところが現実に存在するウランガラス製品にはいろいろな色があります。たとえば,私がこれまでに集めた色違いのウランガラスはこんな色です。
これは太陽光の下で撮影した写真です。
左が,一般的な黄色,右の小さいのがピンク色,後ろのカップは青色です。ウランガラスと言ってもずいぶんと色が違いますね。
別の角度からも眺めて下さい。これはどれも2000円前後の安価な量産ウランガラス製品です。
これはピンクや青に発色するウラン化合物があるわけではありません。ガラスにウランを混ぜて,さらにピンクや青に発色する化合物を混ぜることで,様々な色のウランガラスが試みられてきたのです。
でもこうしたウランガラスも,紫外線を当てたときの蛍光の色は全て緑です。ガラス中のウランイオンが出す蛍光は波長が510nm~580nmで,一番強い光は531nmと562nmです。一方,人間の目は555nmの緑色の光に一番感度が高いので,ウランガラスの出す緑の蛍光がよく見えるのです。
これが暗い部屋で紫外線を当てたときの蛍光です。
ガラスの色の中にウラン特有の緑の蛍光が出てきます。
でも青いウランガラスはなんだか蛍光が見えませんね。これは偽物なのでしょうか。
そこで青いガラスの右から強く紫外線を当ててみました。
青いガラスも緑に発光しているのが見えます。青いガラスは,ウランを少なくして,ほとんど透明に近いウランガラスに,青の発色剤を混ぜて作ります。そのため,蛍光も弱いのです。放射線を測ってもほとんどバックグラウンドと変わりませんでした。そこで青いウランガラスは,一見しただけでは本物かどうかなかなか見分けがつきません。青いウランガラスは暗い部屋で蛍光を確認しないとなかなかわからないでしょう。
まだまだ他の色のウランガラスもコレクションしたくなってきました。
参考文献
・ウランガラス同好会HP
・苫米地兼『ウランガラス』1995
・大森 潤之助『日本のウランガラス』里文出版,2008
コメント
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トリウムレンズ
昔のカメラ用のレンズで、トリウムを混ぜた物が有ったようです。
屈折率が高くなるらしいのですが。
トリウムレンズは、黄色くなるらしい。
我が家にも、古いカメラレンズが沢山有るので、今度トリウムレンズが無いか、探してみなくては。
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アトムレンズ
PENTAXのスーパータクマー55mm F1.8がアトムレンズとして有名ですね。
コレクションしてみようかなと考え中。
PENTAXコーナーで紹介してもいいですね。
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調べてみないと
そのあたりのレンズなら、何本も有るので、幾つかはアトムレンズなのではないかと思うのですが。
そうでないロットもあるらしく、見分け方がいまいち判りません。
そのうち、調べてみないと。
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外見だけでは難しそう
1977年以前のレンズの一部が該当するようです。
放射線でレンズが黄変することが多いので、レンズの色で見分けるしかなさそうですが、それも完全ではないのでやはり測ってみないと何とも言えませんね。