南アフリカ製のゼンマイ駆動ラジオ

Tag: ゼンマイラジオ アフリカ イギリス 科学教育

 これは南アフリカのBayGen社製の「FREEPLAY」という.
ゼンマイ駆動のラジオです。

 今から25年前,1995年9月9日の朝日新聞の夕刊に,“ぜんまいラジオ 世界へ情報”というタイトルがありました。

イギリスの発明家トレバー・ベイリスが考案し特許を取ったゼンマイラジオの記事です。その発明家は,アフリカの貧困層にエイズ予防の正しい情報を広めようと,電気がいきわたらない末端でも使えるようにと考えました。そのために電源無しでも集団で聞ける音量や,駆動時間を確保するために研究開発が進められて,商品化されたのがこれです。
 大型ボディの半分以上もの体積を占める強力ゼンマイをフルに巻くと約25分間もの間、AMとFMと短波を集会所に集まった多数の人々全員に聞こえるほどの大音量で鳴らし続ける事ができます。

ゼンマイラジオ

側面に大きな回転ハンドルが付いています。
ゼンマイラジオ

これを回すと,ゼンマイが巻き上がります。
ゼンマイラジオ

反対側は,スイッチ,ボリューム,チューニング,受信バンド切り替えのスイッチが付いています。
ゼンマイラジオ

では,実際の動作を動画でご覧ください。

スイッチを入れるとゼンマイが動き出し,発電機を回してラジオが鳴り出します。
スイッチを切るとゼンマイの回転もほとんど止まります。

この「OFFのときはぜんまいがちょっとしか動かない」というのがすごいところなんですよ。ぜんまいは巻きっぱなしで長期に放置すると板ばねが曲がりっぱなしで戻らなくなってしまいます。ばねやゴムを伸ばしっぱなしにして,元に戻らなくなるのと同じです。そこでこのラジオでは電源OFFのときは,発電機を適当な抵抗でショートさせるようにできています。ショート(短絡)させると大電流が流れるので,発電機が非常に重くなります。一度にたくさんの電流を流すには大きなエネルギーを作らなければならないからです。これが発電機を重くし,回転の抵抗を増やすのです。それで電源OFFでは,ゼンマイは非常にゆっくり回って,巻きっぱなしを防いでいるのです。すごい配慮された発明で,とても感心しました。

日本で売っている「手回しラジオ」は「手で回して充電する」もので,ゼンマイで動いているものはありません。充電式なので電池の寿命があります。
ゼンマイ式の利点は電池を使わないという点です。

受信バンドは日本でいうと短波,中波,FMに対応しています。ただFMは日本とは帯域周波数が大きい方にずれているので,日本のFM局は受信できません。
しかし,最近始まった「ワイドFM」が90.5~95MHzに割り当てられているのでこれは聞けます。今回は静岡SBSラジオのワイドFMを聞いてみました。SBSのAM放送がFM品質で聴けました。

AM放送と短波放送は普通に日本の放送局が聞けます。
ゼンマイラジオ

メーカーのロゴです。
ゼンマイラジオ

裏面には「メイド イン 南アフリカ」となってます。
ゼンマイラジオ

商売としては先進国に高く売って,アフリカには安く売るという方法が取られ,日本でも15000円ほどで売られていました。

届いたものは輸送途中の衝撃と思えるもので故障していたのですが,幸い簡単に修理できました。内部構造は大きなゼンマイ式発電機と,ラジオ部品で単純な作りでした。

しかし,今では入手困難であることを見ると,新製品も出ていないで生産は終わっているようです。今回はeBayで見つけたものを買いました。本体は3000円ほどですが,大きいので送料の方がかさみました。

結局この方式のラジオは後継機もなく,今の手回しラジオは充電式ばかりです。
去年の夏にタンザニアとエチオピアに行ったのですが,そのとき感じたのは,スマホの普及でした。どんなに家がボロボロでもスマホはかなりの人が持っていて,ソーラーパネルで充電したり,そういう光景があちこちで見られました。

もしかすると25年の年月は,スマホの爆発的普及で,このようなラジオの出番はなくなったのかもしれません。

スマホは世界を一つに結びつけつつあります。
このラジオはそうした時代に取り残された試みだったのかもしれません。

とはいえ,ゼンマイ式というのは「電池不要」なので,何年たっても,くりかえし使えるわけで,いつ必要になるか分からない防災用として優れた方式だと思います。特許の期限20年も過ぎているし,どこかのメーカーが作らないかなあと思うのです。
 日本メーカーが作ればもっと洗練された小型で高性能な物ができるんじゃないかな?

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