スチーブンソンのロケット号

Tag: 模型 スチーブンソン ロケット号 O.S.ENGINES 5インチゲージ 127ミリ ミニSL 小川精機 科学教育

今から約200年前、1830年に使われた蒸気機関車ロケット号の1/13.3模型です。5インチゲージ(127ミリ)のレール幅で、人を乗せて走るパワーがあります。小川精機の製品です。
ロケット号

小川精機は乗用型鉄道模型事業を1978年から展開していたのですが、残念ながら2024年2月末に業務終了となりました。このロケット号はそのシリーズの一つ。

ウィキペディアによれば、ロケット号はロバート・スチーブンソン が設計し、1830年開通の世界初の旅客鉄道であるリバプール・アンド・マンチェスター鉄道の機関車で、最高速度は時速46.6kmということです。

この模型はそのメカニズムを忠実にスケールダウンして模型化したもの。燃料と水があれば実際に人を乗せて蒸気で走ることができます。

この模型は2024年3月に亡くなった義父がミニSLの会で使っていたものです。

ロケット号

機関車のうしろに、水タンクの樽と石炭を積む貨車がつながります。
運転席は機関車後輪の上のステップにあり、石炭投入口のところです。つまり運転者は立ったままで、屋根も何もない吹きさらしで機関車を走らせたということになります。天気の悪い日はどうだったのかなあ?
ロケット号

このピストンが客車を引っ張る動力を生み出します。左右二つなので今で言うなら2気筒。
ロケット号

ロケット号

実物の運転者はこの場所に立っていました。
この穴に米粒ぐらいに砕いた石炭を入れます。
運転マニュアルでは固形燃料でも使えるそうです。
ロケット号

模型の運転席もつなぐとこんな感じ。
ロケット号

この運転席に乗るとこんな景色になります。
マニュアルを見るとここに座りながら石炭くべたり、圧力調整したり、スムーズな運転にはいろいろな技術が必要なようです。
ロケット号

これは客車を牽引するときに機関車の前部に付けるおもりです。なぜわざわざ車体を重くする必要があったのでしょうか。
ロケット号

それは「機関車の引っ張る力は摩擦力で決まる」ため。

この模型は機関車の後部が重いため、駆動輪(前輪)とレールの摩擦力が足りなくて、客車が重くなると空回りを起こして、いくらエンジンのパワーを上げても牽引できなくなります。これはこの模型のことだけではなく、当時の鉄道技術者を悩ませた問題でした。

この模型の「運転マニュアル」によれば、その解決法は機関車の前部におもりを付けること。
機関車前部を重くすれば前部の垂直抗力が増して、駆動輪とレールの摩擦力を大きくすることができます。これで牽引力を大きくできます。
本物のロケット号でも同じような問題に直面したでしょう。
その答が「摩擦力=機関車の重さ」だと分かるまでにはさまざまな試行錯誤が行われ、多くの失敗を生みました。
機関車はエンジンパワーだけじゃその性能を発揮できないのです。

ちなみに5インチゲージとはこれぐらいのレール幅です。
鉄のかたまりで1.6kgありました。この重さも摩擦力を増やすために重要なんでしょう。
ロケット号

走ってるところを見たいと思いましたが、マニュアルを読んで私にはこれを走らせる技術はないと確信できたので、この模型の動画を探しました。少し古いですがYouTubeでこの模型を走らせている動画がありました。
この動画を見ると、車輪が空回りしてスピードが出ない場面があります。特に冒頭のスタートのところで顕著に車輪がスリップしています。この人には「機関車におもりを付けると良いんだよ」と教えてあげたくなりました。
さらに動画では、煙突の煙がまともに運転手に来てますねえ。「前が見えない」というぼやきも聞こえてなかなか大変です。
ロケット号の煙突が長いのは、おそらく運転手に煙が来ないようにするためだったんじゃないかな?ただ、スケールダウンした模型ではもろに煙を受けちゃいましたね。


参考文献

wikipedia「ロケット号」
小川精機「O.S.ライブスチーム」
・「機関車の引っ張る力はなにできまるか」「たのしい科学教育映画シリーズ vol. 7 動力学編」岩波映像、仮説社 、2004
・「ロケット号 運転マニュアル」(小川精機)

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