マルコーニの「世界最初のモールス無線電信」の再現 ver.2

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もくじ

2019年3月の記事で,マルコーニが初めて実用化した無線電信を再現しましたが,今回はそのバージョンアップです。今回の前提となる実験方法は3月の記事「マルコーニの「世界最初のモールス無線電信」の再現実験をお読みください。

USB電子ライターのアンテナの改良

 マルコーニはヘルツが1888年に発表した〈電気の火花放電の時に発生する電磁波〉を無線通信に使いました。送信に必要な電気火花を作る誘導コイルは,中学や高校の理科実験用に今でも売られていますが,10万円程度と高価なため,個人で持っている人は少ないでしょう。代替品として「USB電子ライター」が使えますが,出力が小さいためごく近くしか通信できませんでした。
 今回の方法は少しでも安価に通信距離を伸ばすように,USBライターの送信アンテナの部分を改良したものです。もともとは20世紀に売っていた「ピッピーポケベル」というおもちゃの送信機の構造を調べてまねしたものです。

1.みがいたエナメル線(ホルマル線)をネジにしっかり巻き付ける。アンテナ電線の長さは1mぐらい。
アンテナ

 ネジはUSB電子ライターの電極の間に入るぐらいの長さと太さのものを使います。
アンテナ

2.ネジに放電が起こるように片側にすきまを空けて,ビニールテープでライターに固定する。このとき,電極のど真ん中にネジを置いて,左右から放電が起きてもかまわないですが,そういう設置は難しいので,無理せず片側に放電が起こるすきまがあれば十分です。
アンテナ


 送信機の放電のようすです。



3.送信機の全体は,前回と同じ。マイクロスイッチでモールス符号を打ちます。これは雰囲気だけなので,ライターを分解しないで,本体のスイッチを普通に押すだけでも十分モールス符号は打てますよ。つまり必要なのは,アンテナ部分の工作だけです。

送信機

4.実験映像。可能な受信距離は1.5mぐらいでした。


受信機の変更

1.コヒーラの変更
 前回の受信機は「音技工房」で作ってもらった「マルコーニの復元レプリカ」(φ6.4×30(mm)Grass Tube Metal Filings Type)を使いました。マルコーニが実用化したコヒーラスイッチのレプリカでした。感度は高いのですが,5万円と高価なのが難点でした。それとガラス管なので破損しやすいという欠点もあります。(実は,あれはヒューズ管ホルダーにはめているうちに割れてしまったのです....
 そこで音技巧房で作っている別のタイプのコヒーラを使ってみました。
コヒーラ
 この製品は平川製作所のサイトに載っています。音技巧房さんと相談した結果,電波受信用に適しているという「ヒューズ管入り銀ニッケルの「Old Marcony」(φ6.4×30(mm)Grass Fuse Size)」を注文しました。受注生産で納期は2ヶ月ほどかかりました。価格は送料等込み3984円と大幅にコストダウンできました。
 ヒューズそのままの形状なので,ヒューズ管ホルダーに簡単に付けられます。

2.アンテナ線の取り付け
 ヒューズソケットの電極にアンテナ線を半田付けします。長さは左右に1mずつ。バイブレーターも円筒モーターに代えて,丸い平面タイプのものをソケットに接着剤で貼り付けました。
コヒーラ

3.コヒーラの電圧を3ボルトに変更
 商品サイトにある仕様書ではコヒーラの電圧は1.5V と書かれていましたが,実験してみると感度が低かったため3Vに変更しました。3Vの方が感度と安定性に優れていました。それでも5万円のコヒーラよりやや感度は低いという実験結果でした。その点は高価でも最初に使ったマルコーニ再現タイプの方が優れています。まあ,これは価格との相談で妥協です。誘導コイルで数メートル受信できれば,演示実験には十分ですから。
 それに,現在の電波法では「火花方式の電波発信は禁止されている」ということも忘れてはいけないですね。通信距離は実験室の中にとどめておきましょう。
 LED,圧電ブザー,バイブレーターは6Vで動かしています。初号機は3Vでしたが,今回はもっと音の振動数が小さい(2300Hz)圧電ブザーに変更した結果,6Vでないと鳴らなくなったためです。本当は800Hzぐらいの音が耳に心地よいのですが,圧電ブザーでは残念ながらそのような製品は見つかりませんでした。
 回路図は「マルコーニの「世界最初のモールス無線電信」の再現実験の記事を参照してください。
送信機

 コヒーラ部分の動作です。



4.全体のセッティング
 USB電子ライターよりも,誘導コイルの方がセッティングも簡単で遠距離通信できます。
送受信機

 誘導コイルに50cm真鍮線を2本付けます。今回は誘導コイルに「フットスイッチ」を付けました。これでモールス符号を送るための誘導コイルのON・OFFが簡単になりました。

 送信機のアンテナのすきまはごくわずかにすると,最も良い結果が出ました。放電もかなり絞っても十分な性能でした。
アンテナ部分

5.実験結果
 教室の前と後ろで十分通信できました。


モールス符号を打ってみよう

 ここまで実験すると,モールス符号を打ってみたくなりますね。@QRZnowさんがJust Learn Morse Code ( Download )にこんな画像を公開しています。
 これならモールス符号もイメージで覚えられそうです。
モールス符号の覚え方

今回追加した実験道具


・コヒーラが見えなくてもいいなら,このホルダーでも良いでしょう。


・私の実験のようにコヒーラを見えるようにしたければこのようなホルダーを使います。
ヒューズ管ホルダー(モノタロウのリンク)
ホルダー

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