京都大学の高校生講座で大型霧箱実験

Tag: 京都 霧箱 放射線 科学教育

 先日,京都大学・国際高等教育院の舟橋春彦教授による,スーパーサイエンス・ハイスクールの高校生対象の「研究するって?予想と実験を積み上げて」という講座がありました。
 このサイトで紹介している霧箱と同じものを使って,放射線の入門授業を行うということなので,私も参観に行ってきました。
霧箱講座
2016/12/03 09:16:30
 舟橋さんによるつかみも十分。

霧箱講座
 震災直後の2011年3月末の仮説実験授業研究会の緊急集会で私が発表した,授業書案〈放射線とシーベルト〉を下敷きにした授業プランで講座を進めました。
 予想を立てて実験結果を確認していきます。生徒も意見を出し合って盛り上がります。

 授業プランで基本的な放射線イメージを作ってから,実際に霧箱を組み立てて、石から出る放射線を見てもらいました。
霧箱講座
 これは当サイトで紹介している,プラスチック段ボール製の展示用大型霧箱です。班で一つずつ用意されました。さすが公立高校より予算ありますね~~。


 そして別室に用意されていたのがこれです。超大型霧箱。舟橋研究室の後藤さんによって作られたもので,強力な照明で照らします。
霧箱講座


 林式霧箱を大きくしたものです。ここまで大きいと科学館の高価な装置に負けません。見え味も最高です。後藤さんの力作です。

作り方
(1)霧箱はプラスチック段ボールを曲げて作る。寸法は縦50cm幅80cm深さ30cm。
(2)底面は植毛紙とサランラップ。(舟橋さんはアルミホイルカバーは使っていないが、液漏れ防止には使った方が良いと思います。)
(3)外の発泡スチロール容器は高さが約16cm。
(4)ドライアイスブロックは5個使い、中央に1個、四隅に1個ずつ配置。
(5)そのドライアイスの上に40cm×50cmのアルミ板を2つつないだものを敷き、アルミ板の上に霧箱を乗せる。
(6)霧箱の中に変成アルコールを約1600cc注ぎ、サランラップでふたをする。(無水エタノールではコスト高になる。無水プロパノールも比較的安価でお勧め)
(7)照明は写真の通り強力なLED照明使用。(LED投光器)

霧箱講座


 これは大勢で見るのに良いですね。身の回りの放射線を本格的に低コストで見ることができます。
霧箱講座
 構造はペットボトル式霧箱と同じで,単に大きくしただけなのですが,私には見え方の質的違いも感じました。小さい霧箱で見るよりも,迫力が違うのです。とにかくすごくよく見えます。大きさは質的変化ももたらすようです。
 ドライアイスもアルコールもたくさん必要なのと,冷えて安定するまで30分ほどかかるので,それなりに準備が大変になりますが,効果は抜群です。高校生も放射線の多さに驚いていました。
 そのあとは、仮説実験授業の授業書を用いた講座です。測定器を使って、身の回りの放射線の問題に予想を立てて、実験結果を確認していきました。
 高校生もたのしく放射線を学んで、満足してくれたようです。

参考文献(Amazonのリンクです。)

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