ローマ帝国のカバたち

Tag: ローマ帝国 お金 貨幣 K3 カバ

 2014年のブログ記事(ここをクリック)で、ローマ帝国のコインに見られる動物とカバを紹介しました。
 その後新しいコインを手に入れたので、今回はカバのコインをまとめて紹介します。

 まず最初はローマのカバといえばこの人です。
オタキリアのカバ銀貨
PENTAX K3+DA35mmマクロlimited
 ローマ皇帝フィリップス・アラブス(在位244-249)の妻オタキリア・セウェラの銀貨です。このコインはアントニニアヌス(アントニヌス銀貨)というタイプで、額面はディナリウス2枚分=2デナリです。この時代はすでにローマ帝国の衰退期に入り、銀貨といってもメッキで薄っぺらくなっていて、だいぶ質が低下しています。当時の本当の価値は2デナリよりだいぶ低かったでしょうね。
 それでもローマ建国1000年祭を開いていろんな動物をローマに連れてきました。その記念コインにカバがたくさんあるのです。こうやって集めてみると実にいろんなカバがいますねえ。この時代のコインは同じモチーフのコインでも、型を彫った職人によって絵が違いますね。

 この人には銀貨だけでなく銅貨にもカバがいました。
オタキリアのカバ銅貨
 これはセステルティウスといって、額面は4アス銅貨です。これ4枚(16アス)でディナリウス銀貨1枚分の価値です。銅貨の中では一番高額になりますが、それもこの時代はだいぶ小さくなっています。
 ということでオタキリア・セウェラのコインに特異的にカバが見られます。eBayを探すと、オタキリアのコインにはこれ以外にもカバの絵が異なる銀貨がたくさんあります。もうきりが無いので収集はしないつもりですが、いったい何種類あるのでしょう?

 他の皇帝としては今度はネロ(在位54-68)です。帝国初期なので、コインの質は良いです。以前紹介したものはかなり腐食が進んでいたのですが、今回のはかなり状態が良いです。その分値段も高くなりましたが...。
ネロのカバ銀貨
 これはエジプト属州アレクサンドリア発行の地方銀貨で、額面はテトラドラクマ(4ドラクマ)です。ローマ中央政府発行の銀貨ディナリウスの3~4倍の重さで大きい銀貨です。しかし銀と銅の合金で銀の純度が低かったので、価値はディナリウスと同程度で通用したそうです。

トゥエリス女神

 ちなみにドラクマは古代ギリシャのお金の単位で、地中海地域で広く使われていました。現在のギリシャはユーロになってますが、かつてはドラクマでした。
 ローマ帝国時代のエジプトはクレオパトラが有名ですが、実はこの王朝はギリシャ人の征服王朝でした。それでローマ時代のエジプトではギリシャのお金の単位が使われていたわけです。現代のエジプトの通貨はポンドです。これはイギリスの植民地だった影響ですね。
 このカバ銀貨は地方で流通しただけですが、エジプト人にとってはカバはナイル川の住人であり、女神トゥエリスでもあり、おなじみの動物でした。

 続いてはハドリアヌス(在位117-138)のカバです。
ハドリアヌスのカバ銀貨
 ハドリアヌスは何度もアレクサンドリアを訪れていて、お気に入りの場所の一つでした。ハドリアヌスのカバのコインはナイル川を題材にしたものにいくつかありますが、カバ単独で描かれているのはこれだけです。値段もちょっと高め。
 これもネロのと同じくテトラドラクマです。かわいいカバですね。

参考文献

・David Sear『Roman Coins and Their Values Volume II 』2002
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・David Sear『Roman Coins and Their Values III: The Accession of Maximinus I to the Death of Carinus Ad 235 - 285』2005
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