エスカルゴ牧場で「本物のエスカルゴ」を食べる

Tag: 三重 松阪市 エスカルゴ牧場 エスカルゴ グルメ

夏休みの旅行で以前から気になっていた「エスカルゴ牧場」へ行きました。三重県松阪市にある、「エスカルゴの完全養殖」を行っている施設です。予約制でレストランの食事もできます。今回はフルコースに申し込みました。
エスカルゴ牧場

これがこの牧場で生産されているエスカルゴ。ブルゴーニュ種で、正真正銘の由緒正しいエスカルゴです。高瀬俊英さんがブルゴーニュ種の完全養殖に世界で初めて成功したのが、ここなのです。
細菌感染のない環境での飼育に成功したため、とてもきれいなエスカルゴです。日本のカタツムリよりも白いですね。
エスカルゴ牧場

結構大きいです。
エスカルゴ牧場

左上は日本のカタツムリ。
上の瓶はエスカルゴの卵。
2つの殻は料理で焼かれたエスカルゴの殻。焼くと白くなります。
手前右は日本のカタツムリと逆巻の殻で10万個に1個程度の非常に珍しいものだそうです。
エスカルゴ牧場

レストランと言っても、ここは「研究施設」。併設の試食のできるスペースと言った方がいいでしょう。
でも、本物のブルゴーニュ種を食べられる貴重な場所です。エスカルゴファンなら一度は訪れたいところなのは間違いありません。

最初の料理はエスカルゴ定番の「ブルギニョン」。
自家製パセリもおいしい一品。
サイゼリアなどの安いイタリアンでは殻がないのが普通です。それは代替種の輸入缶詰を使っているため。野性のブルゴーニュ種はほとんど絶滅していて殻は非常に入手困難だそうで、高級レストランでも殻を何度も使い回すのが現状だそうです。
エスカルゴ牧場

パンに乗せていただきます。
エスカルゴ牧場

2股の小さなフォークで殻の口をはさんで、専用のはさみで殻を掴みます。
パンにうま味たっぷりのソースを注ぎます。
エスカルゴ牧場

フォークで殻の中身を取り出してパンに乗せます。
エスカルゴ牧場

エスカルゴを食べる専用の道具。
エスカルゴ牧場

ここはブルゴーニュ種を飼育していますが、ヨーロッパで養殖に成功しているのはもっと小さいプティ・グリ種だそうです。
そして現在エスカルゴとして提供されているもののほとんどは、代替種のアシャティーヌ種(アフリカマイマイ)なんだそうです。これはよほどの高級レストランでもそういう現状とのこと。
つまり、「伝統的な本物のエスカルゴ」であるブルゴーニュ種を安定生産して食べることができるのは、ここしかないのだそうです。
そして代替種ばかり(それもほとんど輸入缶詰製品)が使われるようになった結果、本物の生きているブルゴーニュ種を料理できるシェフもほとんどいなくなったのが今の状況なのだそうです。高瀬さんは「有名シェフでも、このエスカルゴをずっと使い続けてくれる人はいなくて、2年ぐらいでやめてしまった」と残念そうに語っていました。
エスカルゴ牧場

2品目はエスカルゴの辛子酢味噌あえ。
三杯酢で味付けしたエスカルゴ・アワビに京味噌をかけた、ここでしか食べられない珍しいエスカルゴの和食。
新鮮なエスカルゴを使えるここならではの料理です。
エスカルゴ牧場

エスカルゴ牧場

3品目はラビコットソース。
エスカルゴ・アワビ・トマトをオリーブオイル・レモン汁・ワインビネガーのドレッシングをかけた冷たい一皿。
エスカルゴ牧場

4品目はココット焼き。
エスカルゴとアワビ、きのこ類を自家製ガーリックソースでからめこんがりとオーブン焼きしたもの。
エスカルゴ牧場

至福のひととき。
エスカルゴ牧場

食事の後は、エスカルゴを飼育している施設の見学です。
内部の撮影はできません。
独自開発の技術でたくさんのエスカルゴが飼育されています。
エスカルゴ牧場

子どもたちが作ったエスカルゴの殻を使った作品もありました。
エスカルゴ牧場

高瀬俊英さんからはたくさんのお話を伺うことができ、エスカルゴ飼育研究への情熱が感じられました。しかし40年の活動の結果は、思うようにここのエスカルゴ研究成果を認めてもらうことができなかった悔しさというものも感じました。
高瀬さんのところには、これまで商社や海外の実業家、国内外の有名シェフ、内外の研究者などが訪れたそうですが、一緒に研究し、本物のエスカルゴを広めようという仲間とは出会えなかったようです。
高瀬さんは「飼育法を教える気はなくなった」とあきらめたような状況なのが気にかかりました。高瀬さんももう高齢です。この先この施設は高瀬さんとともに消えていくのではないかと、残念な気持ちがしました。

高瀬さんの本業は機械設計で、鉄工場経営です。エスカルゴの養殖は高瀬さん個人の研究活動です。高瀬さんは本家のフランスでも伝統が途絶えてしまったブルゴーニュ種のエスカルゴ料理の復活を目指してきましたが、このままではそれも消えてしまうかもしれません。

私は「発表しない研究は世の中に無いのと同じ」とかねがね言っていますが、高瀬さんの研究はこのまま「書かれないまま消える研究」の一つになりそうなのが残念でした。活字に残しておけば、いつか誰かが再発見して続きをやってくれる可能性があります。それは50年後か100年後なのかもしれませんが、「残す」ということは、今は評価してもらえなくても未来へつながる行動なのです。
私は高瀬さんに「研究成果は書いた方がいい」と言いましたが、今はもうその気になれない様子でした。

未来は誰にも分かりませんが、この味を体験できるのは高瀬さんが生きている「今」であることは確かです。
皆さんも、ぜひ「ほんもののエスカルゴ」を味わってみませんか。

・予約やお問い合わせは下記リンクからできます。
お家でエスカルゴ料理を食べられる通販もありますよ。
エスカルゴ牧場・三重エスカルゴ開発研究所

・エスカルゴ牧場を取材した動画。
世界初!エスカルゴの完全養殖 成功への想い - エスカルゴ牧場(松阪市)|三重県応援団(三重テレビ)


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