一生に一度の金星の日面通過
5月21日の金環日食が話題になっていますが,今年はもう一つ,非常に珍しい現象が6月6日に見られます。それは金星の日面通過(太陽面通過)です。日本全国で,朝の7時ごろから午後の13時過ぎまでかけて,ゆっくりと金星が太陽の上を通過していきます。
前回は2004年6月8日でした。この写真はそのときの光景です。そして,さらにこの前は1874年12月9日(明治7年)でした。100年以上も起こらなかったのです。100年前は明治維新間もない日本に外国から観測隊が訪れました。
6月は梅雨の季節です。あいにく本州は雨模様。そこで観測地は......
梅雨前線をはるばる超えて北側の北海道の稚内(わっかない)へ飛んだのでした。
2004/06/08 11h17m
PENTAX*istD,ISO400,1/2000s
SMC PENTAX Fish-Eye Zoom 17-28mm,F6.7
これは稚内沖の利尻島です。まだ雪をかぶっていました。
そして稚内空港。空港前の草むらを観測地に決めました。というのも仕事の都合で,日帰りだったからです。日面通過の前半だけ見て,あとはとんぼ返りの予定。だから空港のそばで観測です。
空港からも利尻島が見えていました。
実は稚内空港前ではもう一人,同様に見に来ていた方がいました。その方に撮ってもらった記念写真。
2004/6/8 14h36m
タカハシFC50屈折望遠鏡で撮影。
金星が太陽の上に入りました。日食めがねで見ると肉眼でも黒い点が見えました。
真っ黒い金星のシルエットです。水星の太陽面通過の時に比べると遙かに大きい惑星でした。
2004/06/08 14h57m
望遠レンズで全体像も撮影しました。
このまま最後まで見ていたかったのですが,帰りの飛行機の時間も迫り撤収。初めての稚内も空港を見たのみ。
機内でも金星の太陽面通過を観察しました。
2004年6月8日18時59分。飛行機の中で撮影。この後は雲の中に沈んでいきました。
最後まで見たかったですねえ。
この現象は8年おいてセットで起こるという特徴があります。その後はまた100年以上間が空きます。つまり,今年の6月6日は私たちが見れる最後のチャンス。今年生まれた赤ちゃんでも,100歳でやっとチャンスがめぐってくるのですから,今生きている人にとっては最後のチャンスです。
これは何を置いてもみるしか無い!ですね。
しかし6月はやはり梅雨時。果たして自宅で見ることができるのか?またしても北海道なのか?天気が悩ましいところです。
5月21日の金環日食が終わっても日食めがねは捨てないようにしましょう。6月6日に使えますよ。