スピンサリスコープ(4)
スピンサリスコープに磁場をかけたときの実験のその後です。
前回の方法では2枚に合わせたネオジム磁石の間をのぞき込む形になり,撮影に制約がありました。
そこで今回はその点を改良することにしました。
これが今回の実験装置です。
2013/05/11 11:57:46
上下を磁石で挟むのは同じですが,上の磁石をリング状のものにして,真上からの撮影を可能にしました。
あとは試行錯誤で,2つの磁石の距離や,線源や蛍光板の位置を変えて試して行きました。ネオジム磁石同士を接近させるわけですから,やはり取り扱いには注意が必要です。
最終的に,中央よりもリングに出来るだけ近いところに線源と蛍光板を持って行くのが良いことがわかりました。
あとは蛍光板と線源の距離も何度もテスト撮影しながら最適な距離を決めていきました。
それで今回撮れた写真です。
2013/05/11 11:38:41
今回はこれが限度のようです。前回の写真よりも奥の方まで撮影できました。α線の光点が左に偏っています。
いずれにしても「α線を磁石で曲げるのは容易ではない」ということは,これまでの実験で明らかです。
ラザフォードがどれぐらいの電磁石を使ったのか,それに,強力なNとSを向かい合わせるのですから,固定も大変だったはずです。
実際にやってみると100年前の苦労がいろいろと想像できました。
これは1936年頃の霧箱と電磁石です。電気もものすごい大電流です。これぐらいないとまともな実験はできないんですねえ。
実験材料の入手方法はスピンサリスコープ(5)に書いてありますので,そちらのページを参照してください。
コメント
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ラザフォードも血豆を作った?
実際に再現してみるっていうのは、本当に価値のあることですね。
・・・・ でも、ラザフォードにはたくさんの優秀な助手の皆さんがいたから、うみほしさんみたいに血豆は作っていなかったかもしれない。
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先人の苦労
こうやって実際にやってみると,その困難さがわかります。教科書で勉強する単なる知識以上のものを得られました。むしろ,ちょとやそっとのネオジム磁石では,α線は曲がらないと言った方がいいでしょう。強い磁力線の場を作って,その中をちゃんと飛ばすのがコツのようです。でもネオジム磁石で磁力線を作るのは引力が強くてとても困難でした。