アルファ線のきらめきを動画にする

Tag: 放射線 アメリシウム スピンサリスコープ K1 理科教材 科学史
 アルファ線が蛍光板に当たると光る現象は,ラザフォードやガイガーたちによる初期の放射線研究に活用された重要な現象です。
 私の蛍光板によるアルファ線の実験は2012年のスピンサリスコープの研究で書きました。それから5年が過ぎ,カメラも進歩しました。今回はフルサイズセンサーで高感度性能がアップしたK1での再実験です。
 今回のアルファ線源はアメリシウムを使いました。
アメリシウム
 これは煙感知器に使われているアメリシウムです。ラジウム試料と違い発光しないので,アルファ線の光だけを見ることができます。また2012年に使っていたポロニウムは半減期が短くてすでに使えなくなっています。そこで今回はアメリシウムの登場です。


 セッティングはこんな感じです。スピンサリスコープの蛍光板を4枚並べて,アメリシウム線源を画面下の方に置きました。こうすると画面下の方から上に向かってアルファ線が発射されます。それが蛍光板にぶつかれば光るでしょう。
アメリシウムと蛍光板


 そしてこれがアルファ線の蛍光です。下から扇形にアルファ線が拡がって、蛍光板にぶつかっています。
アメリシウムのシンチレーション
2017/07/22 09:16:58
PENTAX K1,ISO102400,1.0s
SMC PENTAX 50mmF1.2をリバース

 2012年の時より感度は2倍にセット。コンポジット合成していない1枚写真で,1秒間に光った点が写っています。たしかに高感度ノイズは少なくなりました。ビデオ撮影も期待したのですが,残念ながらK1の動画最高感度のISO3200でF1.2のレンズでも,シンチレーションの撮影には全く歯が立ちませんでした。この撮影にはやはりカメラの限界近くの性能が必要ですね。
 ビデオ撮影はできませんでしたが、今回は静止画からパラパラ漫画の要領で動画にすることを試みました。
 20枚の画像を使って,PhotoshopでアニメーションGIFを作ります。これを無限ループにすると,予想以上に肉眼で見たときの感じに近くなりました。


 結果をご覧ください。
シンチレーション


 これを見て思うことは「ガイガーはこれをどうやって数えたのか?」という疑問です。ガイガーはラザフォードの研究室の助手として、実験に手腕を振るった人で,放射線測定器「ガイガー・カウンター」の発明者です。1909年の実験では原子核の発見の元になった現象を,蛍光板の光点を数えることで行っています。この写真でもかなりの拡大なのですが,それでも肉眼で数えることなどとてもできそうにありません。
 論文を読むと実験には望遠鏡を使っているので,おそらくかなりの拡大率で,とても狭い範囲を見ていたのでしょう。
 こうやって実際に実験してみると,当時の論文に書かれていない,隠れた努力が見えてきたようで,とても想像が膨らみました。


 同じ手法で撮ったラジウム時計の動画もあります。それはこちらをご覧ください→クリック


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