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リビア皆既日食

もくじ

日食の概要

 この日食は2006年3月29日に起こりました。
 サハラ砂漠を横断して、リビアからエジプト、トルコなどを皆既帯が通りました。
 今回も観測地選びは時の運。私たちは「こんな時でもないと行きそうにない国(笑)」としてリビアを選んだのでした。ジャルーのエクリプス・シティです。砂漠の何もないところに作ったキャンプです。(クリックで拡大)
観測地
 リビアはエジプトの西隣。日本にはなじみがないでしょうけど、石油が出て豊かな国です。
 サハラ砂漠も見たい。
 また、この地域はローマ帝国の領域だったところでもあります。魅力的な遺跡もたくさんあるのです。それも目的の一つ。

遺跡観光

 日本からエミレーツ航空ドバイ経由でトリポリへ。さらにトリポリ空港からベンガジへ飛び、バスで観光です。
 ホテルの前にはリビア軍の兵士が警備についてました。
リビア軍
2006/03/27 08:23:51


 イタリア橋。高い橋です。リビアはイタリアの植民地だったことから,イタリアと関係が深いようです。
イタリア橋


 ゼウス神殿に到着しました。今から2500年前のギリシャ人の植民都市があった時代のものです。
ゼウス神殿
2006/03/27 12:01:29
PENTAX *ist D ,ISO400,1/1000秒
SMC PENTAX FA Fisheye Zoom17-28mm(F9.5)

 太い石の列柱。
ゼウス神殿
 まだ観光開発されてない感じです。


列柱


 ゼウス神殿に立つ!
 かつてはここに巨大なゼウス像が建っていたそうです。
ゼウス神殿



 昼食は洞窟のようなレストランです。
洞窟レストラン


 これはクスクスという料理。小麦粉から作った粒状のものです。北アフリカではポピュラーな食べ物だそうです。
くすくす

 このあたり一帯はキレーネ(キュレネ)遺跡と呼ばれています。キレーネはギリシャ人天文学者のエラトステネス(前275-前194年)の生誕地です。彼は大地を球形と仮定して、太陽の作る影から地球の大きさを計算したことで知られています。
 ギリシャ時代ののちローマ帝国(前27-476年)の属州となり発展しました。ローマ帝国末期はキリスト教文化となりましたが、365年の大地震で破壊され、その後は衰退し、400年代には廃墟があるだけとなったそうです。まだイスラム登場前の町です。
キレーネ遺跡


キレーネ遺跡


 これはローマ帝国末期のキリスト教モザイク。


キリスト教

遺跡観光ビデオ

 遺跡観光のビデオです。イタリアが作った橋の説明で1000mと言ってたのですが,たぶん100mの翻訳ミスだと思います。


 

観測地へ

 さて、砂漠を移動していきます。途中、政府のお偉いさんの都合で1日目のホテルを追い出され、2日目は急遽、開店前のホテルに泊まったり、トラブルを乗り越えて観測地のサハラ砂漠を進みます。


 朝,ホテルの前で見つけたスカラベ。いわゆる「ふんころがし」です。古代エジプトでは「聖なる甲虫」として崇拝されていました。
スカラベ


 途中、寄った町。アジダビアという町です。ここで買い出しのようです。


アジダビア
2006/03/28 09:42:11
SMC PENTAX FA FisheyeZoom 17-28mm


 ここでツアーでパンとオリーブを仕入れて今日の昼食に。バスの中が香ばしいにおいでいっぱいに。
リビアのパン
(日食掲示板の佐山敬悦さん撮影)
 このパンはとてもおいしかったです。帰国後もフランスパン+オリーブの実というのはしばらく私たちの定番になりました。

 アジダビアから観測地のエクリプス・シティは300km。
 サハラ砂漠の砂がきれいです。
(クリックで拡大)
サハラ砂漠
2006/03/28 11:16:40
PENTAX *ist D,ISO400,1/1500秒
SMC PENTAX FA Limited 31mm(F9.5)

 そしてついに砂漠の中のキャンプにつきました。
ジャルー南キャンプ
2006/03/28 15:16:04

今回の観測地はEclipse city Jalu South

テント

 かなり大規模なテント村でした。世界中から日食ファンが集まっています。リビアにはこのほかにもいくつかこうしたキャンプが作られました。
 お土産屋のテントはカラフルなパッチワーク。

土産屋

この日はここで宿泊。
夕暮れ

夕日が砂漠に沈みます。

サハラの夕日
2006/03/28 18:46:22
PENTAX *ist D,ISO400,1/500秒
SMC PENTAX FA Limited 31mm(F8)

 夜も更けて、オリオンが砂漠に沈みます。(クリックで拡大)
オリオン
PENTAX LX


 キャンプに花火が上がります。
花火

日食当日

 翌日はいよいよ皆既日食の日。

テントから離れたところに機材を並べてスタンバイ。雲一つ無い快晴!もう観測成功は約束されたようなものです。
スタンバイ


日食が始まりました。ピンホールの太陽も欠けていきます。
(クリックで拡大)
ピンホール

 そして始まりのダイヤモンドリング。

始まり

月の影に包まれます。
(クリックで拡大)
影の中
2006/03/29 12:27:18
PENTAX *ist D,ISO400,1/15秒
SMC PENTAX A16mm Fisheye(F2.8)

頭上にはコロナが広がります。
(クリックで拡大)
新月とコロナ
PENTAX LX+タカハシFC50屈折(Φ50mm,Fl=400mm)
 4分ほどの皆既が終わりダイヤモンドリング。

終わり

 日食が終わりました。これ以上ないほど天気は最高でした。
 この太陽のクローズアップはフィルムで撮った最後の日食です。この後はすべてデジタル化となったのでした。今回は広角レンズと観光写真はデジタル一眼レフ使用でした。

エクリプス・シティ編 ビデオ


 打ち上げしたい気分でしたが、残念ながら酒は売ってないんです。まじめなイスラムの国でした。本当に売ってないの?裏もないの?と密かに思いつつ、すっごくまずい、ノンアルコールビールで乾杯。
 さて、日食が終わると、我々はベンガジへ移動のため撤収。

ベンガジからトリポリへ

 翌朝早くベンガジ空港前のカダフィー大佐の前でポーズ。恐れ多いですね。
カダフィー
2006/03/30 06:34:17

 トリポリへ移動して、観光です。市場へ行くことになりました。
トリポリは車がいっぱい。

車の波

 カラフルな洗濯物?
街

 これはローマ帝国のマルクス・アウレリウス皇帝(161-180年)の凱旋門。165年の建造です。
凱旋門
2006/03/30 11:22:01

 市場近くのモスク。
モスク

市場では職人がトンテンカンテンと食器を作っていました。
職人

これが食器。きれいですね。
食器

小鳥を見ている女の子。
女の子

 アラブらしく金がたくさん。
金細工

 金の布。
金の布

 時間が少ない中で、我々は水たばこを味わうことにして、市場のカフェに。おじさんたちが水たばこを楽しんでいます。

水たばこ

 我々も注文して、エジプト人の学生アルバイト(らしい)の人が火を付けてくれます。炭の火を乗せます。

水たばこ

 水たばこをくゆらす現地人風の人(笑)。
水たばこ

帰国へ

 このあと、リビアを後にして帰路についたのでした。
リビアは平和で豊かな国に見えました。公共料金はタダ。水はサハラの地下の化石水を地下水道で張り巡らして使い放題って感じでした。

 飛行機は夕暮れの砂漠上空を飛びます。ナイル川が見えました。
ナイル川

 サハラの波。砂の海です。

サハラ
2006/03/30 19:08:49
SMC PENTAX FA Limited 77mm(F9.5)

 地中海沿岸はまだまだおもしろい遺跡がたくさんあります。またいつか行ってみたい国です。

 同じツアーだった佐山敬悦さんの紀行文があります。
http://eclipse.star.gs/ni060329/index.htm
 こちらもご覧ください。

(追記2015.10.20)
 その後リビアは2011年にカダフィー大佐が殺され、独裁者の時代は終わりました。しかしその代わり群雄割拠の戦国時代時が続いています。独裁による平和か独裁者のいない戦乱かということを考えると、どちらがいいのか簡単には言えないなあと思います。
 2027年8月2日に再びリビアで皆既日食が見られます。そのときリビアは,再び世界中から日食ファンを迎え入れることができるようになっていてほしいです。