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シルクロードに日食を見た

日食の概要

 この日食は2008年8月1日に起こりました。
 場所はウイグル自治区のモンゴル国境付近です。普段は管理地帯で入ることが出来ません。1週間後には北京オリンピックです。ウイグルではテロ事件が続いて、当局はぴりぴりしているようでした。私たちも何度も検問に会いました。
  観測地はここです。本当に国境間近ですね。三塘湖という町の名前もこの地図をよほどアップにしないと出てきません。ほとんど住む人のいない砂漠の辺境です。

敦煌

 日本から韓国経由で中国新疆ウイグル自治区の烏魯木斎(ウルムチ)空港へ。そこから敦煌空港へ飛びます。昔のシルクロードも今ではすいすいと行けちゃいますね。
敦煌空港
2008/07/29 09:52:19
 写真の時刻は北京時間です。中国ではタイムゾーンが無く、北京時間のみが公式です。しかしウイグル自治区では北京時間-2時間で生活する人が多いそうです。実際の感じは表示時刻から2時間引いた感覚です。

 初日は敦煌観光です。
 これは敦煌近郊の鳴砂山という砂の山。風の吹き寄せで出来た砂山。

鳴砂山

 ラクダに乗って砂丘近くへ行きます。
ラクダ

 たくさんのラクダ。
ラクダ

 着いたら砂丘に登ってみます。これがまた大変。
鳴砂山の階段
 砂なので一歩登って半歩落ちるという苦労して登ると、こんな景色。三日月湖が見えます。初日から結構な運動量。息切れハァハァ...

鳴砂山の上

 ひまわり畑でしょうか。
ひまわり

 そして、道中にはオリンピックのキャラクター。この年は北京オリンピックでした。

オリンピック

敦煌といえば莫高窟。

莫高窟

 しかし、撮影禁止なのでガイドさんにカメラを預けます。
重そう。。。。
カメラいっぱい

 この日は敦煌に宿泊。
 くだものを運んでいる人。敦煌はくだものが豊かですね。
くだものを運ぶ

 ホテルから見た町並みはクレーンがいっぱい。敦煌は建設ラッシュです。中国って元気があるねえ。
(クリックで拡大)
敦煌のホテルから見たクレーンだらけ

 敦煌でみたTシャツ屋さん。
Tシャツ屋

 ツアーの一人がこんなTシャツを特注。我々のためにがんばって一晩で何枚も描いてくれました。
 莫高窟の上の黒い太陽!ほんとはありえな~い(笑)。

Tシャツ

 さて敦煌の朝。
敦煌の朝
2008/07/30 06:55:00

 敦煌を離れる前に玉門関という関所跡と漢時代の長城へ寄りました。ここは
古代の国境地帯だったんですね。(クリックで拡大)
玉門関
2008/07/30 10:25:54
 広大ですねえ。ここは王朝の盛衰で支配者が頻繁に入れ替わったところです。

玉門関

 漢の長城は藁と土で固めた物です。もう砂漠と同化しつつあります。
漢の長城

漢の長城

ゴビ砂漠から哈密(ハミ)

 そしてゴビ砂漠を延々と走ります。
ゴビ砂漠

(クリックで拡大)
果物売り

 次の宿泊地の哈密(ハミ)に着きました。ハミといえば「哈密瓜(ハミウリ)」。古くは皇帝への献上品でした。
 観測地で食べるためにツアーでハミ瓜やスイカを仕入れました。
なんせ8月。夏真っ盛りに砂漠地帯。暑いに決まってますね。
ハミ瓜
2008/07/31 21:01:48

 大きなスイカですねえ。
画像の説明

 ハミの中心には大きなハミ瓜のオブジェがありました。
ハミ瓜のオブジェ

 甘くておいしかったですよ~。
ハミ瓜

天山越えで観測地へ

 8月1日。ハミの朝。まだ日も昇らないうちに出発。今日は午後遅く日食ある日です。観測地へ向かいます。
日の出
2008/08/01 07:16:05

 天山超えて、モンゴル国境付近へ行きます。
天山ふもとのテントで朝食。これがレストラン。

テント
2008/08/01 07:50:32
 そして天山越えが本格化。

天山山脈

 途中の道でトイレ休憩。
道中

 道ばたには花が咲いてました。
花

 ガイドさんはウイグル人です。ウイグル語でサインしたTシャツを販売。買いましたよ。
ウイグル語

 そして巴里坤(バルクル)という小さな町で観光バスが集合しました。
巴里坤
2008/08/01 10:23:11

 「なんだろ~」って思ってるのかな。この町でも今日は日食が見えます。
住民

そこからいよいよ管理区域へ入ります。

車列
 これは観測地へ向かう車列。警察の先導車に付いて行かなけりゃならないのです。
 そして最後の検問所。荷物検査です。
検問
2008/08/01 12:19:50
 ここからまた警察の先導で観測地へ。のろのろとすごく時間がかかって、到着は4時過ぎに。日食開始は6時頃。なんとか間に合いました。

 気温は42℃。ものすごい暑さの中、汗だくになって大急ぎで望遠鏡やカメラをセットします。

 私の後ろには警備の兵隊さん。すごく若そうな人だった。高校生ぐらいって感じ。白いシャツ人は非番の人なのかな?兵士に話しかけながら日食見物をしていました。
兵隊
2008/08/01 18:33:55

三塘湖の悲劇

 何とか準備が間に合いました。あまりの暑さでツアーで用意してくれたビールはお湯に!お湯でも砂漠で渇いたのどにはビールはうまい。あとは皆既の瞬間を待つばかりです。

しかし.......

皆既直前

 なんともう少しってところで雲にっっっ!みんなの悲鳴が。

皆既

 あーあ、始まっちゃったわ。雲からはみ出すコロナが見えます。
(クリックで拡大)
皆既
2008/08/01 19:07:48
PENTAX K200D,ISO400,1/3秒
タカハシFC50屈折(fl=400mm,F8)

 近くにいた人が「こんな時は、周りの様子を見るといいよ」と仲間にしゃべっていました。その言葉に助けられて私も皆既中の影に覆われた景色をぐるっと360°見渡しました。こんなことでもないと、太陽の反対側をじっくり眺めることもないでしょうね。360°の夕焼けを見ました。

そして.........
(クリックで拡大)
ダイヤモンドリング
2008/08/01 19:08:25
PENTAX K200D,ISO200,1/1000秒

(クリックで拡大)
kightbox2,終わり

 そのまま皆既は終わり。雲から出てきました。ため息ですねえ。

では曇ってたかというと、こんな感じの空だったんですよ。

影の接近

太陽の左斜め上に金星と水星が輝きます。
(クリックで拡大)
最大皆既
2008/08/01 19:06:21
PENTAX K10D,ISO400,1秒(-1補正)

 そして雲が取れないまま月の影は去っていき、日食が終わりました。

影の通過

皆既終わり

 太陽のとこだけタイミング良く、ピンポイントで雲があったんですね(悲)。

 のちに観測地にちなんで「三塘湖の悲劇」と呼ばれることになったのでした。

動画

 一応,ビデオも撮影しました。しかし雲に入って暗くなるとピンボケです

 

散々な結果になってしまいました......ビデオカメラのオートフォーカスなんて二度と信用しないぞ!(後に2009年の北硫黄島の日食のとき,同行していたNHKの高価なカメラでさえ,ダイヤモンドリングからピンボケになってました!)

日食の後

 おまけに,日食後は快晴に......


 我々のテント村です。日が暮れてようやく気温が下がってきました。
テント村

こちらはモンゴル方向。

モンゴル方向

 砂漠に太陽が沈みます。
日没
2008/08/01 21:05:56
K200D,ISO200,1/3000秒
SMC PENTAX DA 50-200mm F4-5.6 ED

 本当に天気だけはどうにもなりませんね。日食時以外はすばらしい晴天でした。

日が暮れて星が見えてきました。

星空

真夜中に起きてみると満天の星。テントを抜け出して星を眺めました。
テントの上に北斗七星が乗ってました。
(クリックで拡大)
真夜中の北斗
2008/08/02 03:13:11
PENTAX K10D,ISO1600,180秒

ウルムチへ戻る

翌朝は砂漠の朝焼け。(クリックで拡大)
観測地の朝
2008/08/02 06:43:16
PENTAX K200D,ISO200,1/350秒
FA Limited 31mm

 今度は天山超えてウルムチへ戻ります。
 昨日は警備の兵士がずらりと並んでいた観測地への道路も、今朝は誰もいません。
帰り道

これは天山ふもとの村。途中で寄った村のトイレです。これがまたすごかった(笑)

トイレ

ヒツジの群れにも出会い、

ヒツジ

 ラクダの群れにも。
ラクダ

 高速道路沿いに天山山脈が雪をかぶっています。
天山山脈

ウルムチ近くで天山山脈最高峰が見えました。5000m級です。

最高峰
2008/08/02 17:14:03
DA50-200mm

 こうして、シルクロードの旅は終わりました。砂漠の風景は単調でもあり、美しくもありでした。

 このとき一緒に行ったhp.ZACさんのHPにも旅行記が載ってます。

http://www.aba.ne.jp/~hpzac/

を覗いてみてください。

 また違うツアーですが,同じ場所で共に悲劇を味わった佐山敬悦さんの紀行文もご覧ください。
http://eclipse.star.gs/ni080801/index.htm