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アトムレンズ

レンズのマウント側を霧箱に近づけると放射線が増え,遠ざけると減るのが分かります。実験では2回近づけています。

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アトムレンズ
アトムレンズにはトリウムが含まれています。
トリウムを含んだガラスは屈折率が上がるということを利用しています。
かつては高性能レンズとして各メーカーで生産されていました。
ペンタックスのタクマーレンズの一部はトリウムガラスを使用していました。
トリウムガラスは経年変化で黄色くなってしまいます。
このレンズも黄色くなっているのが分かります。
こうしたこともあって生産されなくなり,新世代の光学ガラスに交代していきました。
今のデジタルカメラなら変色も問題なく対応できます。
 銀匙さんの記事「アトムレンズの「ヤケ」を直す方法」によれば,紫外線を当てると黄変が取れるそうです。
そうなれば完全に元通りにできますね。
実験では霧箱の外側にレンズを置いているので,もっぱらベータ線が見えます。
トリウムはアルファ線が多いですが,ガラスから出られるのは表面付近の原子からだけです。またアルファ線は透過力が小さいので,霧箱には入れません。
レンズを霧箱の中に入れるとアルコールまみれになるので,後が面倒なことになるでしょう。それに霧箱には大きすぎますね。
ガンマ線スペクトル
これは今回のレンズのガンマ線スペクトルを測定したもの。
トリウムと比較すると,見事にすべてのピークが一致しました。
確かにこのガラスにはトリウム原子が入っています。

またこの一致の意味は「トリウム原子がどのような原子とくっついていても,放射線の出方には全く影響ない」ということも示しています。
 二酸化トリウムの隣は酸素原子です。ガラスの中のトリウム原子のまわりには,いろいろな原子がいます。そういう「原子同士の結合の違い」(こういうことを化学反応といいます)は放射線には影響しません。
 放射線を何かの物質(サプリなど)の化学反応で弱めたり,ましてや微生物の働き(これも化学反応)で放射線を除去なんて不可能なので,そういう怪しい話には引っかからないようにしましょう。
測定値
だいたい5マイクロシーベルト/時でした。

参考文献(Amazonのリンクです。)

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参考文献

ウランガラス同好会HPより
「アトムレンズ(トリウムレンズ)(放射能レンズ)
・苫米地兼『ウランガラス』1995
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・大森 潤之助『日本のウランガラス』里文出版,2008
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